ファイル・ディレクトリの指定方法

FatFsモジュールでのファイル、ディレクトリ、ドライブの指定方法はMS-DOSとほぼ同じです。ただし、一般的なOSのようなカレント・ディレクトリの概念は無いので、常にルート・ディレクトリから辿る絶対パスでの指定となります。パス名の指定方法と例は次の通りです。


 "[論理ドライブ番号:][/]ディレクトリ名/ファイル名"

 "file1.txt"           ファイル(ドライブ0)
 "/file1.txt"          ↑と同じ
 "dir1/dir2/file1.txt" ファイル(ドライブ0)
 "2:dir3/file2.txt"    ファイル(ドライブ2)
 "2:/dir5"             ディレクトリ(ドライブ2)
 ""                    ルート・ディレクトリ(ドライブ0)
 "/"                   ↑と同じ
 "2:"                  ルート・ディレクトリ(ドライブ2)

FatFsモジュールは8.3形式ファイル名にのみ対応しています。長いファイル名には対応していないので、ファイル名やディレクトリ名は8.3形式の範囲内で指定します。ディレクトリ・セパレータには'/'を使用します。パス名先頭の'/'は、あってもなくても同じです。論理ドライブ番号は、'0'〜'9'の一文字の数字とコロンで指定します。省略した場合は"0:"を指定したことになります。Tiny-FatFsでは一つのファイル・システム・オブジェクトしか持てず、常に論理ドライブ0として動作します。また、パス名中に論理ドライブ番号を使用できません。


論理ドライブと物理ドライブの対応

標準構成では、それぞれの論理ドライブは同じ番号の物理ドライブに1:1で結びつけられていて、先頭の区画がマウントされます。構成オプションで_MULTI_PARTITIONを指定すると、論理ドライブに対して個別に物理ドライブ番号・区画を指定できるようになります。この構成では、論理ドライブと区画の対応を解決するためのテーブルを次に示すように定義する必要があります。

例:論理ドライブ0〜2を物理ドライブ0(固定ディスク)の3つの基本区画に割り当て、
   論理ドライブ3を物理ドライブ1(リムーバブル・ディスク)に割り当てる場合。

const PARTITION Drives[] = {
    {0, 0},     /* Logical drive 0 ==> Physical drive 0, 1st partition */
    {0, 1},     /* Logical drive 1 ==> Physical drive 0, 2nd partition */
    {0, 2},     /* Logical drive 2 ==> Physical drive 0, 3rd partition */
    {1, 0}      /* Logical drive 3 ==> Physical drive 1 */
};

複数区画指定を使用する場合、次の点に注意しなければなりません。